
🌹薔薇と夢と妖精と──
A Midsummer Night’s Dream
“The course of true love never did run smooth.”
― Shakespeare, A Midsummer Night’s Dream
初夏の薔薇が咲き誇る頃、風がどこか妖しくなる瞬間がある。
あたりを包むのは、ただの夕暮れではない。
それは“夢と現実の境界線がほどけはじめる時間”──。
この季節に咲く薔薇は、他のどの季節の花よりも恋と魔法に近い。
たとえば、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』。
物語の舞台は、夏至の頃の深い森。
人間の恋人たちの心は乱れ、妖精たちの悪戯に翻弄され、真実の愛が試される。
オベロンとティターニア。
妖精王とその妃であり、自然界の見えざる力を象徴する存在。
そして彼らの魔法は、花に宿る。
そう、物語の鍵を握るのは「一滴の魔法の露」をたたえた花──
目覚めたとき最初に見た相手を恋してしまう、愛と錯覚の魔法。
私たちの人生にも、似たような魔法がある。
不思議な出会い。理由のない執着。引き寄せ。
それらすべては、魂が“目に見えない花の香り”を感じ取っているからかもしれない。
🌸 薔薇は恋の精霊の導き
初夏の薔薇は、ただ美しいだけではない。
咲くタイミング、香り、色の揺らぎ──
すべてが恋と魂の学びのサイン。
白い薔薇は、内なる女神性を呼び覚まし、
紅い薔薇は、情熱と変容を促す。
たとえば「プラウド・ティターニア」は、誇り高き愛と自己肯定の象徴。
「ロードリー・オベロン」は、静かなる守護と影の愛の力を思い出させてくれる。
あなたが今、どの薔薇に惹かれるか。
それは、あなたの中のどのエネルギーが目覚めを待っているかを教えてくれる。
🔮 占いは、妖精の言葉を読むこと
占いは未来を決めるものではない。
それは、妖精たちがささやく真実の種を、私たちが拾い上げる儀式。
夢に出てきた花。偶然目にした言葉。引いた1枚のカード。
それらはすべて、魂の森であなたに差し出された魔法のバラなのだ。
🌕 “A Midsummer Night’s Dream”は、今も続いている
愛とは、ままならぬもの。
でも、それこそが、魂を輝かせる錬金術。
薔薇は、傷を負いながらも咲き続けるその姿で、私たちに恋の真実を教えてくれる。
もしあなたが今、愛に悩んでいるのなら──
あるいは誰かを忘れられずにいるのなら──
初夏の夜に、そっと薔薇に触れてみて。
そこには、オベロンとティターニアが置いていった、
愛と目覚めの魔法が、今も生きているかもしれない。